2019/02/27
こんにちは、よっしーです。今日ニュースをみていたら、また、アメリカン・フットボールのプロ選手が片ヒザをついてることに関するニュースをやっていました。
内容としては、すごくシンプルです。アメリカの副大統領がアメリカン・フットボールの試合を見に来ていました。試合前にはアメリカの国歌が流れます。プロ選手は本来起立して右手を胸の前に置いて、国旗に敬意を示さないといけないのですが、
一部の選手が片ヒザをついて、人種差別に抗議するポーズをしていたので、見るのをやめて、帰ってしまったというものです。
ネックになっているのは、国歌が流れているときに、「起立しないこと」の捉え方です。アフリカ系アメリカ人は、人種差別を抗議しているんだよと考えていますし、トランプ側は、それは国に対する不敬であったり、侮辱にあたるから、認めることはとてもできないといった切り口です。
みなさんは、このニュースをみたときにおそらく感じることがあるかと思います。たとえば、アメリカ国民である以上、国旗や国歌を尊重するのってあたり前なんじゃないの?とか、プロスポーツの場に、わざわざ揉め事を持ってくるのって、どうなの?とか、色々あると思うんです。
でもね…、今、ニュースが切り取っている問題の切り口はそこではありません。もちろん、直接ネックになっているところは、国歌が流れているときに「起立するか否か」ですよ。客観的にはね。
でもね。ここが対立点だと考えると、問題は解決しないし、トランプ大統領とかも、議論がかみあっていないとわかっていてやっています。
帰ってしまった副大統領…この人をマイク・ペンスというのですが、ほんとはねぇ…ペンス副大統領はこの日、フットボールのプロ選手が片ヒザをつくことを期待していたはずなんです。
ぜひ、片ヒザをついてくれと。そして、片ヒザをつく選手をみたとき、よしっ!と思って、安心したはずです。でも、わかりにくいですよね。もちろん、これから説明します。
今日は、アメリカの生んだ名俳優トランプ、そして、ペンスの演じたちょっとした舞台裏について考えてみたいと思います。
1 演目
(1)「起立の型および、退陣」
まずは、どういった舞台だったのかを確認してみましょう。日テレnews24のものが一番わかりやすかったので引用します。
なるほど、タイトルで、国歌が流れるとき、選手が立たなかった。だから退席したと書いてありますね。
実際に、49ersの選手が、片ヒザをついていますよね。ざっと見る限り、10人以上はいそうです。
ペンス副大統領のコメントです。国家を侮辱する行為は認めませんと。これから、飛行機に乗って帰るということですよね。ちなみに、これは副大統領がのる専用機であることにも注意してください。
ほう…トランプ大統領のツイッターですね。大統領から、ペンス副大統領に事前に指示しましたと。もし、国を侮辱するような、片ヒザをつく選手がいたら、スタジアムをさりなさいよと。なるほど。
この一連のプロットが、日本のニュースとして、こう風に取り上げられているということですね。
ここまでなら、アメフトのプロ選手たちは人種差別を抗議しているし、それに対して、トランプ大統領側は国旗を尊重しないことについて、批判を強めているので、より、対立は強まるばかりといった流れですよね。
ちなみに、アメリカの国家が流れるときに片ヒザをつくことが、なぜ、「人種差別への抗議」なの?って人もいるかと思いますが、
それは、国歌が流れるときに、起立して、右手を胸の前に置くポーズをとることで、アメリカの旗が持っている「ある考え方」に忠誠を誓っているからです。
詳しくは、前のブログで取り上げていますので、こちらをみてみてください。
でも、簡単にいえば、国民が「自由で平等、そしてひとつになっていること」のシンボルとしてアメリカの国旗に忠誠を誓っているので、いやいや、「自由でも、平等でもない。ひとつにもなっていない」と思うような人は、起立して、忠誠のポーズをとってませんよということです。
(2)片ヒザで語れ
一番最初にこの抗議のきっかけになっている選手を、コリン・キャパニック選手というのですが、とくに、抗議しているところは、警察の(非常に残忍な)差別です。英語で、「police brutality」といいます。言葉にしにくいのですが、一番大きなところは、警察の銃の取り扱いです。他にも、人が人として扱われていないことを問題視しています。
決して、国旗に対して、起立しなくてはいけないことに抗議しているわけではありません。
ついでにいうならば、一般的に、アメリカ人は日本人よりも、国や国旗に対して思いれがあります。アフリカ系アメリカ人についても、当然、愛国心はありますし、国旗も尊重したいと思っています。ナショナルアンセム(国歌)自体が、アメリカの国旗のことについて歌っていますしね。
(3)健気な傾奇者たち
でも、国歌が流れているときに立たないのは、マナー違反なんじゃないの?って人もいると思うんです。
たしかに、そこはあるかもしれません。でもね。みなさんも知っておいてください。この片ヒザのポーズ、彼らはある演目を真剣に演じています。
それは、「哀しき傾奇者の演目」です。もちろん、わかりにくいですよね。でも、傾奇者って、ちょっと目立つ格好をして、人目を集める。そして、考え方に共感して欲しいというのがあって、今回のちょっとしたマナー違反、それも、当然演目の中に含まれています。
でも、重要としているのは、問題解決です。結構考えられているんですよ。
警察の(非常に残忍な)差別、そして、人が人として扱われていないことが、どうやったらなくなるのか…、それには、インパクトの大きいスポーツの舞台において、差別についての人々の関心を集めること。知ってもらうこと。
これが、解決につながるという発想です。
TPOに合わせた…ではないですが、通常、どんなイベントでも、様式というか、決められたポーズというものがありますよね。格好だってそうです。
でも、これをあえて破ることで社会に興味を持ってもらえる場合があります。たとえでいうなら、傾奇者になるということです。期待された格好をせず、変わったことをして注目を集める。
象徴的言論ともいいますが、アメリカの国歌においては、通常期待されているのは、起立し、胸の前に手を置くポーズです。
でも、あえて、片ヒザを立てて、なにかを表現しようとしている。通常期待されている本来のポーズがあるけれど、あえて、それを破ることで、人々にあれ?これって何が起こっているんだろう?と関心を持ってもらえる。
そして、そのなぜという部分に、色々と耳をかたむけてもらえるんですね。もともと、期待されているマナーとは、ちょっと違うよというのは、表現方法のひとつとして含まれています。
え?なぜ、国歌のときに、片ヒザを立ててすわっているのと?なんで、立たないのって?少なくとも、人々の目をよせることができます。
このときにね。その「なぜ」という部分が人の共感を得やすいものだったら、この傾奇者たちの思いは、人々の心に突き刺さるわけですよ。
「差別」なんかは良し悪しがはっきりしていて、「こんなことは、あってはいけないよね」って、すごく、わかりやすいものです。
多くの人が、なくなった方がいいという価値観を持っていることが多い。なので、できるだけ多くの人の目を集めることができれば、いつかは、みんなの心に共通の価値観を持ってもらえるわけです。「この人たちは、こんな風に扱われてはいけない」と。
大事なものを解決したいんだ。ちょっとしたマナー違反はあるかもしれないけど、考え方を理解してもらえれば、きっとわかってくれる。健気な演者たちの姿がそこにあります。
1968年のメキシコオリンピックのときも、似たようなことがありました。黒人の選手が黒い手袋をはめて、黒人差別の問題提起を示したことがあります。オリンピックは白い手袋が期待されていますよね。
でも、ここでも、知ってもらうことがポイントになるわけです。そして、内容が、多くの人に認知され、問題意識を持ってもらえれば、いつかは問題解決につながる。そう考えているわけです。
もちろん、「ちょっとしたルール違反」もあるんですよ。手袋の色が違うというオリンピック憲章ルールにのっかっていません。でも、もっと解決したいことがあるといったバランスの中で、どちらを優先するか考えているわけです。
もちろん、ここには色々な考え方があります。でも、「差別」のように、もともと、善し悪しがはっきりしているようなものは、社会全体でみて、守ってあげた方が、みなのためになるんだろうなとは思っています。
だからね。素朴な疑問として、国歌が流れているときに、起立しないのはやっぱりよくないんじゃないのというのは当然あります。
でも、この考え方って、あえて既定のポーズを取らないことに意味があるので、その内容がおよそ健気な傾奇者たちの姿であるなら、表現のひとつのやり方として、人々に受け入れられると思うんです。
アメリカの人に聞いてみたいのですが、フットボール選手が、国歌のときに、片ヒザをついている行為…これって、失礼に見えるかどうか知ってみたいなと思います。
もちろん、アメリカの旗をゴザ代わりに敷いて、片ヒザを立てたら、そこは相手の気持ちとしてもいいたいことがでてくると思うんです。
でも、今回、選手が片ヒザを立てているのは、スタジアムの試合が始まる前にちょっとだけ流れる数分間だけです。しかも、完全なすわりこみでなく、「片ヒザ立ち」にするという配慮も見られます。
静かで哀しき傾奇者たちの思いが、そこに見て取れるような気がします。僕にはね。
今、この「Take a knee:ひざを立てる」。差別をなくしたいんだという言葉を発せぬ思いは、アメリカで共感を得られているのでしょうか。
いま、毎週、アメリカ各地において、色々な場所のスポーツ選手が、歌手が、一般市民が、片ヒザをついている中で、これが、「ひとつの表現方法」なんだ。人種差別をなくす、ひとつのやり方なんだというときに、僕はね。この「片ヒザを立てる」行為が、国を歴史を伝統を侮辱していることにはつながりにくいと思うんですね。
選手たちが伝えたいことは、「自由・平等で、統合された国民」を尊重してくれる国ですよ。少なくとも、国民の中で、差別されることがない国です。
ちょっと抽象的かもしれません。でも、ここでとくにいっているのは、警察(国側)の一部国民への「生命・身体・名誉・財産」に対する積極的な攻撃、人に対する扱いの不正義なので、
すごくベーシックな基本的人権を守ってよ…という話です。法律上の正式な手続きを持って、自由と平等を守る(アメリカ合衆国憲法修正第14条1項)という部分です。
※United States; nor shall any State deprive any person of life, liberty, or property, without due process of law; nor deny to any person within its jurisdiction the equal protection of the laws.
大統領と副大統領が本来戦うべきフィールドって、本当なんでしょうね?
僕には、一国の大統領や副大統領の言動や行動の方が、よっぽど、アメリカという国のあり方、歴史や伝統を侮辱しているようにうつります。選手たちにSOB(Son of a…)といってみたり、NFLのオーナーにいってクビにすると宣言したり、副大統領は、ゲームを見ないで帰る。
まったく、相手に対する思いやりや、敬意がありません。人よりも、もの(旗)が気になっているかのような、立ち振る舞いです。だから、対立点になっていないんです。
あまりにもバランスが取れていません。
ペンス副大統領は、10月9日、国歌が流れてるときに、選手たちが片ヒザを立てていることについて、「この国を侮辱するいかなる行為は…認められない」というコメントをしました。
でもね。アフリカ系アメリカ人の人は、国や国旗について、抗議しているわけではありません。国がアフリカ系アメリカ人に対して行っている、「警察の残虐な行為や、人種上の不正義:Police Brutality とか Rasical injustice」を抗議しています。
ここには、アフリカ系アメリカ人たちの「哀しき傾奇者たちの演目」があります。
(4)裸の傾奇者たち
一方で、トランプ大統領やペンス副大統領も、ある演目を演じています。それは、「裸の傾奇者たちの演目」です。たとえだとしても、わかりにくいですよね。
本当は、彼らも、なにを抗議しているかというのは、わかっているんですよ。本当はね。
わかったうえで、「行儀よくなさい!」「国や国旗を侮辱してはいけない」と、およそ、利益がぶつかってもいないところで、決められたセリフを返しています。
アフリカ系アメリカ人の「抗議内容」を検討すらしてません。その上で、ある演目を一生懸命演じています。
では、演目を通じて、彼らが伝えたいことはなんでしょうか。ちょっと、舞台裏をのぞいてみましょう。
でも、その前に、みなさんには、日本ではあまり報道されていない事実もちょっと知ってもらわないといけません。
2 シナリオには載っていない演目についても確認してみよう
(1)演目:ペンスの「応援」
こんにちは、今日は、アメリカの偉大なる俳優、トランプ大統領たちの舞台裏についてもみていきたいと思います。ここには、ちょっとした「本音と建て前」があります。
まず、表舞台で行われた内容については、上であげているように、アメリカの副大統領がアメリカン・フットボールの試合を見に来ていて、一部の選手が片ヒザをついて、人種差別に抗議するポーズをしていたので、見るのをやめて、帰ってしまったという内容です。
ペンス副大統領のツイッターも見てみましょう。フォロワーの数が400万もあるんですね。ちなみにトランプ大統領は4000万程フォロワーがいるのですが、二人とも、ツイッターとかのSNSがものすごく影響力があるツールだと理解しているというのは頭の隅に入れておいてくださいね。
まず、コルツチームには、ペイトンマニングというものすごく活躍をした人気のQB(クォーターバック)がいるのですが、ハーフタイムに引退セレモニーが行われるような試合です。
英語を見てみましょう。Pence副大統領 10月8日からいきます。
「コルツチームの応援に。ルーカススタジアムで、多大な功績を残したペイトンマニング(18番)選手にも、敬意を表したい。Go コルツ!」
ユニフォームに着替えて奥さんといい笑顔ですよね。まず、この写真、アメリカで2014年にまったく同じ写真をみたことがあるといっている人がいます。
なんと書いてあるでしょう。
「奥さんとコルツチームの応援に。2nd ハーフの場面にて。Go コルツ!ジャガーズを打ち破れ!」
このときは、違うチームと対戦ですが、写真が気持ち明るいだけで、文字だけ変えて再送しているという人がいます。これですね。実際はどうだったのでしょうか。
ペンスのその後のツイートでは、カジュアルスーツ姿で写っています。もしかしたら、着替えたのでしょうか。でも、答え合わせは簡単です。後ろにいる人のシャツとかを確認すればいいんですよ。
これはなんで3年前の写真を使ったかといったら、「応援する」という台本部分がすっぽり抜けちゃったんですね。頭に片ヒザを確認して、退席するというミッションに心がほとんど奪われていたから、頭からすっぽり抜けちゃったんです。
そして、ペンスは、その後、ツイッターをするときに、しまったと気がつきます。副大統領は頭をかかえます。なぜ、30秒使って、写真を取り忘れちゃったんだと。
答えは、簡単です。コルツチームや、スタープレイヤーを応援する気がなかったからです。試合すらみていません。でも、ツイッター画像は送らないといけない…はっ、3年前の写真…あるじゃないッ!!
…一体、これなんでしょうね。
ところで、たぶん、この試合は、地元にとってちょっとした大事な試合です。僕は、アメフトに詳しくないので申し訳ないのですが、少なくとも、ペイトンマニングを地元で知らない人はいないと思うんですね。
MVPを5回もとっている選手で、他にそんな選手はいないですから。
ファンとしては、今日、副大統領が、コルツチームの応援と、スタープレーヤーのメモリアル試合にくる!って思っているわけです。これって、地元ファンとしては、やっぱりね。ちょっとした出来事ですよ。
わが、ペイトンマニング選手引退試合の応援のために、副大統領が飛行機にのってやってきてくれる。それはファンにとって、ちょっとした嬉しいことなんです。
あと、余談ですが、アメリカで大統領とか副大統領がくるところって、あたり前なんですが、ものすごく混雑します。
報道やSP、色々な安全規制などで、移動が困難になります。でも、地元のNFLファンとしては、わざわざスター選手の応援に来てくれるというなら、まあ、それも名誉なことだし、しょうがないなと思っていたはずです。
副大統領で分刻みのスケジュールだから、試合はすべてみれないはず、でも、ファンとしては、大事な試合だし、応援にきてくれたのだから、こんでてもねという思いです。
ここについては、日本のニュースは、ペンスは観戦の途中で帰ったとあります。では、ペンス副大統領はスタジアムに入って何分で帰ったと思いますか。
ちなみに、その有名選手の引退セレモニーは、ハーフタイムに行われます。
そして、ペンスのいた時間は、8分です。さっと来て、さくって帰りました。日本でも、コンビニでなにか商品を見て、買い物をするぐらいの時間ってこうじゃないでしょうか。
みなさん、今回のニュースの流れ、ストーリーをもう一度確認しましょう。
①ペンス副大統領は、アメリカンフットボールの試合を応援するために、観戦にきました。ところが、②一部の選手が片ヒザを立てて起立していない選手に気がつく。それは、③国旗やその背景にある国を侮辱している行為だから、認めることはできない。怒ってスタジアムを退席するというストーリーです。
最初のプロットは崩れます。応援のためにアメフトの観戦に来たわけではなさそうです(①)。
ここは、仮に応援でなくても、現状を把握しに来るという考えも成り立つので、それだけではまだなんともいえません。では、その場で、一部の選手が片ヒザを立てている場面に気がついたから怒ったのでしょうか。
ペンスは、どう思っていたのでしょう。現地ニュースの内容もあわせて見てみましょう。CNNからも引用しますね。
まずね。アメリカ人の気持ちとして、ここ言いたいところが1点あるはずです。対戦相手は、サンフランシスコ49ers(サンフランシスコ・フォーティナイナーズ)。何言っているの?片ヒザ立ち?やるに決まっているじゃないって!
ペンスが「応援」しているチームの対戦相手は、サンフランシスコ49ersです。片ヒザ抗議のきっかけとなったチームですよ。ここのクォーターバック、コリン・キャパニック選手は今も、契約ができていません。
そういったこともあって、このチームは、昨シーズンから、片ヒザ立ちを欠かしたことはありません。それは、コリン・キャパニック選手に対する気持ちもあるからです。
コリン選手がいたならやることを、チームメイトが彼の分まで頑張ってやっているわけです。アメリカ人からしたら、他のチームはともかく、だって49ersだよ!です。
なので、ペンスはコルツチームを見に行っているわけではありません。ツイッター画像を撮り忘れるぐらいですから。基本は、49ersの選手を見に来ています。
しかも、CNNが伝えていますが、スタジアムに入る前に、報道も当然副大統領の後についてきます。ここで、ペンスは、報道陣に…「すぐ終わるから、外の車の中で待機しているよう」いっています。
全てが筋書き通りですよ。そして、必要なことを確認して退席です。49ersが片ヒザを立てているねの確認です。これをみたときにホッとしたはずです。
そして、目的はほぼ達成したから、帰路につくわけです。
そして、ツイッターです。一般大衆に対しての主張です。「兵士や、国旗を侮辱するいかなる行為も認められない」と。
またねぇ…ここで、このトランプ大統領のツイートですよ。
トランプ大統領が、試合中片ヒザ立ちをしている選手が一人でもいたら、帰るように指示したというツイートです。
僕はねぇ…本当びっくりです。トランプ大統領の立場から言ったら、そんなツイートしちゃだめでしょって。これは政治的PRなんだ。茶番なんだよって、ツイートしているようなものです。
ペンスもすごくびっくりしたと思うんですね。
あくまでも、ストーリーは「観戦していたら、国旗に敬意を払っていない選手がいたから、帰った」という内容なのに、みごとなお手盛りです。
トランプ大統領は、ペンス副大統領にある日指示をだします。「ペンスくん。きみにインディアナポリスのアメフトの試合を見に行ってきてほしいと。もちろん、応援なんだよ。でも、もし、だれか一人でも片ヒザを立てていたら、退席して欲しいんだ。もちろん、対戦相手は49ersだからね。昨シーズンから一度も全員は立ったことがない」と。
ペンスはそれを受けて、現地にいき、報道にはすぐ終わるから、外で待つようにつげ、8分でスタジアムを後にする。片ヒザを確認し、アメフト選手は国旗を侮辱しているとツイートし、一連のミッションを終える。
さて、これにはいくらの費用がかかっているでしょうか。
試合はインディアナ州というところで行われました。知っての通り、副大統領のスケジュールは過密なので、あまり目的がないことに立ち寄るような余裕はありません。
彼は、3日間の日程の中で、ラスベガスで有名なネバダ州から、このスタジアムのあるインディアナ州に飛んできて、すぐカリフォルニア州に帰っています。みなさんは、それぞれの場所がどこにあるかわかりますか。
実際に、地図をみてもらいましょうか。これですよ。
赤矢印が始点と終点です。でも、実際は、ペンスは、ラスベガスから、インディアナポリスのスタジアムに行って、ロサンゼルスに戻っています。緑矢印です。
今回の移動のメインは、インディアナ州ですよ。ここが仕事のメインだから、稼働と、時間、コストをかけて移動してきます。
みなさんに思い出してもらいたいのですが、副大統領の移動は、専用ジェット機です。このフットボールの試合でちょっとした演技をするために、トランプ大統領の指示のもと、ペンスはいくらつかったのでしょうか。
CNNは、これを往復で、24万2500ドルと考えています。大体、日本円では2700万円ぐらいですね。もちろん、これは飛行機代だけです。当然、車での移動、宿泊費、SPによる護衛費は別途かかります。
アメリカのニュースでも、税金からだすのはおかしいといっています。そりゃそうですよね。
(2)裸の傾奇者の思い
この一連は、おそらく茶番なんでしょうね。トランプ大統領の思いとしてあるのは、支持者の人気が欲しいってことです。だから、今回も国民に受けのいいSNSにおいて、ツイッターの指がすべっています。
ほっておけば、モグラたたきのように、この後も、ひたすら叩いていきます。趣旨は、政治的なPR活動で、たたくことで支持率が欲しいのかなってのを想像しています。
でも、今回のトランプ大統領の内容は、さすがにできがわるいので、この後支持者からもなにか言われるはずなんですよ。少なくとも、今回、副大統領はいいたいことあると思いますよ。
今回地元インディアナ州で、大いに愚かなことさせられたんだから。本当は副大統領をたたきたかったのかなと感じましたが、いずれにしても、ランプ大統領においても、このやり方はだめだと気がつくはずです。
じゃあ、どうするの?った考えたときに、一番可能性が高いのは、NFLのオーナーから、選手たちに圧力をかけてもらうという方法をとってくるはずです。
それも、コテコテのわかりやすい方法で演劇をはじめると思います。NFLって、アメリカの国技でもあるので、税制上、色々な優遇を受けているのですが、たぶん、そこを外すと告げてくるでしょうね。
アフリカ系アメリカ人の「表現の自由:片ヒザ」に対して、彼らを使っているNFLに対して、税制でプレッシャーをかけていくんでしょうね。パニッシュメントです。
僕はね。この選手たちの「片ヒザ立ち」が本当に無礼な行為にあたるのかをもっと知りたいと考えています。とくに、アメリカの人の気持ちを知りたいなって。
「片ヒザ立ちは」、国家の式典でやっているわけじゃないですよ。NFLの関係者とも話した上で、スタジアムで短い時間だけ行っています。静かにヒザ立ちをしているだけです。なにか積極的に邪魔をしているわけじゃありません。僕は、表現のやり方のひとつとして、差別という議論のアリーナでなら、当然、認められると思うんです。
逆に、もし、これが本当にゆるされない表現方法だとしたら、NFLの試合をみるお客さんがみるみる減っていくことになります。
一方で、トランプ側の対応は、基本は政治的PR活動ですよね。なぜ、国の権力者が国の機関でもないNFLに、ここまで口出しできるんだろう…って考えてしまいます。あと、NFL選手たちも、Son of a Queenです。
この一連の演技をみていると、アメリカの旗って、本当になんのシンボルか疑問に浮かびます。NFLの選手たちの傾(かぶ)きかたは、健気ですよ。反対利益にも配慮しているし、よく考えられています。時間はかかっても、たくさんの人にその思いが共感されるのかなって思っています。
もう一人の、傾奇者はどうでしょうか。ちなみに、この歌舞伎者が傾(かぶ)いているところが、常軌を逸しているところって、「言葉」と「行動」です。
共感して欲しいと思っている部分は、たぶん、支持者に対するこのモグラ叩きの部分なんでしょうね。おそらく。
これが、人々の共感を得らるのかはすごく難しいとは思いますけど、でも、片ヒザをつくことって、本当に「侮辱なんですかね」。それをやることによって、だれが利益を得るのかと考えると、侮辱って何だろうという言葉が頭に浮かびます。
(3)問題を提示することは、和をかきみだすことなの?
人によっては、あえてそこを指摘しなくてもいいじゃない。そこに争いが生じるから、なんで、あえてかき乱そうとするの?という人もいるかと思います。
もちろん、色々な考え方があるし、それぞれの考え方を尊重します。ただ、差別に関しては、僕はこんな風に思っているので、あぁ、こんな意見もあるんだなと思ってくれたら嬉しいかなって思っています。
説明が難しいので、たとえでいきますね。
ビンがあって、中に、泥水が入っていたとします。静かにしておいておけば、白い綺麗な水の部分と、茶色の濁った泥の部分にわかれます。上の部分に関しては、たしかに、きれいな水なんですよ。
でも、全体としては、普段目に見えないだけで、下の部分には、分断される形で、泥が残っています。
そして、それは別れたままで、そのままずっと残ります。
こういったときに、問題を提示することって、棒とかで、この水をかき混ぜるような行為です。まぜたところから、また泥水がぶわっと巻き上がります。人によっては、かき混ぜてくれるなって人もいるでしょうね。
とりあえずは落ち着いてるのに、なんで、またかき混ぜるのって。
でも、差別の問題って、いつかは全部がきれいな水になるという発想なんです。
少しずつでも、問題となる泥をちょっとずつちょっとずつ、のぞいていけば、それこそ、気が遠くなる程長い時間は必要だけど、全体がいつかはきれいな水になると信じてやっている行為なんです。
片ヒザ抗議は、毎週、アメリカの各地で起こっています。これを単なる無礼でとらえるだけでは、多分解決しないはずです。
泥を取り除くことって、なんでしょうね。でも、この水って、基本的には心の中の話なんです。
でも、まずは、アフリカ系アメリカ人たちの、哀しき傾奇者たちの思いについて、みなが知ってくれたらなと思います。
このブログがみなさんの考えるきっかけになれば幸いです。