2019/02/27
ヒアリという強い毒をもった蟻が、5月26日に兵庫県の尼崎市で発見されて以来、神戸、名古屋、大坂の港で発見されました。
とくに、大阪では、女王アリがみつかっています。
すぐ攻撃をするタイプの蟻が、強い毒を持っていて、自分の家のそばに住みついたら…と思うと、やはり不安に思う人も多いかと思います。とくに女王アリがみつかったことについては、今後、日本に定着してしまう不安ですよね。
ただ、アリは小さく、見分けるのがやはり難しいです。なので、まずは、そんなヒアリをどうやって見分けるのか、また、刺されたらどうなるのか、じゃあ、対策はということを説明していきたいと思います。
まずは、これからいきましょうか。
1 見た目を頭に焼き付けよ!
ヒアリって南米産の強い毒を持つアリです。でも、そのアリがヒアリなの?って結構ポイントですよね。
ネックになっているのって、日本にいなかったものなので、見たことのなさと、その小ささです。
日本だけでもアリは200種類以上います。さらには、2.5mm~6mmしかないということで、まさに僕らからすれば、つまようじの頭、しかも、その折れる部分の大きさを見ているようです。
そう。彼らは小さい。実に小さいのです…なので、探していました。写真とかよりも、パッと人がイメージできるようなものを。
その中で、ぬまがささんというイラストレーターの方が書いたヒアリの絵が目にとまりました。
やはり、こういう人は、対象の特徴を捉えるのが一般の人よりも上手ですよね。すごくわかりやすいので、引用させてもらいます。
じゃん!
イラストでは、ヒアリの名前やちょっとした由来や生体についても書かれているので、あまり予備知識がないよって人でも、すぅっと入っていけるはずです。
まずは、ご紹介します。なんと、8万もRT(リツイート)が入っているみたいですよ。このイラストが、思わずみなを8万回もつぶやかせているということです。
絵が、イメージしやすいものだからでしょうね。すごくわかる気がします。
そして、なんといってもこれ!ヒアリの大きな特徴って、2つです。
①ムネとお尻の間にコブが2つある!ということと、②頭のヒゲは10個のパーツからできていて、先端のコブ2つが大きいということです。
色は、赤茶色だけでなく、ダークな黒もいます。もし、アリを細かく判断しなきゃいけないなと思ったときは、この頭のヒゲと胴体のコブをみてください。
でもね。やっぱり、虫眼鏡が必要なありの小さな、小さな特徴に着目するよりも、まずは、人間目線ですよね。ある程度の大きさがあって、人間がわかりやすいところで見た方がいいかなって思います。
それって、巣です。
僕らが一般的に知っているアリの巣って、地面にブラックホールのような穴があいている巣ですよね。子どものときに、見たことがあるようなあの穴です。
でも、ヒアリの巣って、すごくかわっています。これも2パターンです。ベースは、土や砂でドーム状のアリ塚のものです。イラストが一番わかりやすいですよね。
普段、こんなアリの巣…見たことないよって。それプラス、草地や砂の中に巣がどこにあるのかわからないようなものもあります。
これについても、見てみましょうか。まずは、大きな部分で、見えるところから判断するのがわかりやすいのかなって思います。
2 ヒアリの攻撃を実際に見てみよう!
いろいろ考えたのですが、やはり動画が一番わかりやすいのかなって思います。そこから進めていった方が適切な対応になっていく気がします。
まずは、アメリカのコヨーテ・ピータソンさんの動画を紹介したいと思います。1000万回も再生されているんですね。
この人は、たとえば、ワニだったり、アリだったり、色々な危険な生物に噛まれてみよう、刺されてみようといった企画を本気でやっている人です。
一見、ムツゴロウさんをおバカにしたような人ですが、本当は、プロのエンターテイナーです。
アメリカ人って、こういうところがすごくって…少しクレージーな破天荒さ…たとえば、スキーを崖みたいなところでやることすら危ないのに、そのまま飛び出し、パラシュートで降りる!ということを平気でやります。僕はとてもできません…
もちろん、これは見ている人にこんなことをしたら、どういう映像になるんだろうとか、見ている人の疑問に応えたい!っていうプロのエンターテイメントです。もちろん、その背後では、危険性をへらすためのシュミレーションをしていて、だからこそ、番組としても続けられるわけですが、今回はヒアリのアリ塚に手を1分突っ込んで、刺されてみようということをやっているような動画です。
英語の動画で申し訳ないですが、雰囲気だけでもわかるし、字幕もでるので、ちょっとしたおすすめです。中学英語でもわかるはずです。ちなみにStingは刺される。groanはうめき声。Swellは腫れなので、そこだけ知っていれば、そんなに難しくありません。
57秒から、少しみましょうか。一見わからないアリの巣というのがこれです。少し盛り上がった砂地です。動画でも、この盛り上がった土が本当にヒアリの巣なの?だれもいないようだけど…と説明をはじめます。
でも、ちょっと指をすくっただけで、ものすごい数のヒアリがでてきます。こういったアリ塚に足を踏み入れると、アリに飲み込まれることになりますよといった注意を促すことにあるのですが、
このヒアリの巣に手を置いたら、どうなるのでしょうか。
手を置いてすぐに、ヒアリが襲ってきます。47秒で、うわっ、すでにもう何回も刺されているとピータソンがいいます。
30秒のあたりは、ひたすらうめき声です。痛いんでしょうね。
そして、20秒で、だめだ!これはストップだ!続行できない!
もう一人のレポーターがすかさず聞きます。どうなの?と
ものすごく痛い!!手が燃えるようだ!痛みで手が震えています。4分27秒では、手の血管の部分が膨れ上がって、手がはれ上がっているようだということを告げます。
そこから、5分。動画では、5分18秒あたりです。手にたくさんの腫れがでていますよね。過去にカキにあたったときに、僕もこういう風になりました。絵をここにつけるのはやめておきますが、
気になるひとは動画を確認してください。かゆみが想像できますよね。
3 刺されたらどうなるの
そうなんです。刺されたらどうなるのかがやっぱり気になるから、この動画を引用しました。
もともと、ヒアリの針って狩りに使用するためのものです。ヒアリは植物も食べますが、昆虫の幼虫やミミズ、カエルなどの小動物を毒をもって倒しています。
攻撃性が強いので、アリ塚にふれると、何百匹ものヒアリが襲ってきます。おそらく、日本に定着した場合には、小さいので手袋や衣類の隙間に入り込みさしてくるはずです。
1 まずは、火がついたような痛み、そして腫れ
上の動画でも見ましたが、まずは、火がついたような痛みが刺されたときの症状です。人によっては、目まいや動悸、瞳孔が収縮して、視野がせばまる…アナフィラキシーショックですよね…の症状が出る人もいます。
ちなみに、動画の中で、少し難しい英語がありました。アルカロイド系の毒、これは主成分が細胞を破壊する有機化合物…ですが、
ようは、生物がつくる毒で細胞を壊すので、体の免疫反応として、傷口の周辺が腫れるし、ニキビのような膿みがでるということです。アレルギー症状ですよね。痛みは2週間とのことです。
4 もちろん、アレルギーは人によって違う
まずはこれを知っておいてください。「殺人アリといっても、ヒアリの毒が直接的な死因となる可能性は低い」。これです。そのために、この動画を引用しました。
アナフィラキシーショックは人によって違うということです。軽度、中度、重度がありますが、軽いものから、生命への危険が及ぶまでのものがあります。
軽度:火のついた痛みを感じ、5分後には刺されたところが腫れあがる。その後、膿んでくる。
中度:局所及び、全身にかゆみを伴うじんましんが現れる。
重度:激しい動機やめまい、呼吸困難や血圧の低下による昏睡状態。および生命の危険
アメリカのABC Newsでは、5%程の人が生命の危険へと進展するというのが書かれていました。100人以上が、犠牲になっているそうです。
(出典:http://abcnews.go.com/GMA/Health/story?id=2143091)
逆を言えば、95%の人は重度にならないということですし、対策は可能です。
そして、それは、ヒアリを知るということです。およそ、重度にならないことが多い。万が一刺されたとしても、パニックにはならず、体の容態をチェックする。これが重要だと思います。
ヒアリの毒は食べ物のアレルギーとは違います。それは、直接針が体内に入るからです。ある程度はすぐに体調の変化に気づくはずです。そして、激しい動悸などの異常を感じたら、すぐ病院へいく。
これが、現実的な対応になるはずです。まずは、リスクを知るということです。過剰におそれず、適切な予備知識を身につけていくことがいいのかなと感じています。
5 では、ヒアリを見つけたらどうしたらいいの?
まずは、ヒアリかどうかの判断が重要になるはずです。ヒアリでない在来の日本のアリを(殺虫剤とかで)やっつけてしまうことは、外来種の侵入をはばんでくれるということからは望ましくありません。
また、ヒアリの女王は1日2000もの卵を産むとされています。大きい巣だと群れは100万匹をこえるそうです。おそらく、普通の人が気づくとしたら、ちっちゃなアリの個体を発見するというよりかは、巣です。
あれ?家の側に、あれって…アリ塚じゃないの?がポイントになるのかなって思っています。
そして、どの段階で気づくにしても、見つけたら、下手に刺されるよりも、素人が触らない方がいいはずです。携帯の写真でとって、専門機関に連絡をしてください。
下記に連絡すべき環境省の地方環境事務所等一覧をのせておきます。ただし、国の機関として、関東・東北などといった大きな地区ごとになっていますので、
極端に電話が集中しないよう、上記ヒアリの特徴を踏まえたうえで、専門機関への連絡を行うのが適切ではないでしょうか。
http://www.env.go.jp/nature/intro/reo.html
個人ベースでは、万が一刺されても、パニックにならない。そして、体調の変化を把握し、急変した時には病院へ行く。それでいいのではないでしょうか。
過剰におそれない。適切にリスクを把握するのが、一番いいのかなと思います。
6 本質的な対策はおそらく困難。どうやって向き合っていくか
いろいろ見ているとヒアリを早く発見して、やっつける。日本に入って、定着を防ぐべきという言い方が多い気がします。
もちろん、僕もそこはわかります。ただ、外来種自体をくいとめることは難しいです。それは、みなが知っているように貿易とセットになっているからです。
今回のヒアリについても、もともとは中南米のアリです。それが、2000年移行、マレーシア、オーストラリア、台湾、ニュージランド、中国と一気にひろがっています。
海に面しているところでは、貿易が盛んな国です。もともとは、中南米の急速な発展がバックにあります。中南米の豊富な農作物や資源が、コンテナを通じてアリとともにやって来ています。
日本のワカメがオーストラリアの沿岸で発生していますが、これもコンテナ船のバラストウォーターが排出される際に、日本の海水とともに、現地に流れ込んでいるからです。
もっとも、ヒアリは被害が顕著だからネックになるのですが、でも、全体としては、見つけたら専門機関に対処をしてもらうというのが、現実的なはずです。
日本のアリをむやみに倒してしまうのは、得策ではないはずです。そのために、まずは、ヒアリの概略をわれわれが知ること。その目的もあり、この記事を作りました。みなさんの役に立つことを祈っています。