2019/02/27
こんにちは、よっしーです。海外のことを考えていたら、昆布について書いてみたくなりました。
理由は、ささいなことですが、先日アマゾンがスーパーを買収した記事を書いたのですが、
買収された方のスーパー、ホールフーズマーケットでは、健康志向のスーパーマーケットということもあって、ドリンクコーナーで人気飲料のKombucha(こんぶちゃ)というものを売っています。
でも、これは、実は微炭酸だし、昆布茶じゃありません。でも、そういったこともあって、ふと、昆布について少し語ってみたくなりました。
ようは、ダジャレスタートなのですが、でも、海苔もそうなんですが、昆布などの海藻って、海外で昔まったく人気がなかったんです。
でも、最近は、日本の味もたとえば、ヨーロッパのスペインのホテルだったり、パリのレストランとかで人気があったりします。
みなさんも、日本の伝統、大切に受け継がれてきたようなものが、はるか異国の意外なところで、愛用されていたらちょっと嬉しく思いませんか。地味なものかもしれないけど、見た目じゃない。ここ(といってポンポンポンとハートをたたく)といいながら、「和って、いいでしょ?」って。
それこそ、普段僕らが、一般家庭でなんのへんてつもなく見ているものが、一流ホテルで使われていたりします。そういったこともあって、今日はちょっと取り上げてみようかなと考えました。みなさんも、ちょっとした読み物として読んでくれると嬉しいなと思います。
1 海外に行くときにトランクに忍ばせておくといいもの
僕は、高校生のときにアメリカ留学していたのですが、みなさんも、海外にいくときに持って行った方がいいものが2つあります。
ひとつは、耳かきです。綿棒ではなく、竹のしゃもじ形のやつです。今は、ダイソーとかも海外にあるので、大丈夫かもしれませんが、僕は当時、それがなくて、綿棒じゃだめなんだと思っていたことがあります。
もうひとつは、インスタント料理です。たった、3日でも、日本人って、遠く離れた異国の地で、日本食がかならず恋しくなります。おそらく僕のように、あなたも、耐えきれず、現地の日本食レストランに飛び込むかもしれません。
そして、なかには、美味しい店もあるのですが、ときに、真実というのは厳しいものです…多くの場合、日本人からすると「なんだか変」という料理が少なくありません。そう、味に何かが足りないのです。
ちなみに、話はずれますが、海外にいくと、日本人の常識をはるか斜め上に卓越した食事があるので気をつけてください。「なんだか変」ではなく、「あきらかに変」な料理があります。
余談ですが、みなさんにも一つおみせしましょう。真実の姿を。それはアメリカのユタ州にあります。ソルトレークシティーからバスで30分で移動した場所に食べた衝撃でお店の名前は忘れてしまいましたが、ある中華料理店があります。
そこで、僕は「酢豚」を頼みました。みなさんも知っている日本でも馴染み深い中華料理です。僕は、その夏のあついときに、あの美味しい酸っぱさを堪能したいと思って、酢豚を注文しました。
柔らかな豚肉を、下茹でしたシャキシャキとした野菜とともに、甘酢あんかけのふわっとした美味しさで包む。酸っぱくておいしいあの料理をたべたかったんです。
メニューには、酢豚って、「sweet and sour(甘酸っぱい) pork(豚肉)」とあったのですが、たぶんこの英語はアメリカ人には通じません。アメリカに似たような料理がないので。中華鍋で炒めた豚肉野菜炒めの「stir-fried sour pork and vegetables」の方がいいのかなとは思ったのですが、
それは、ともかく、注文した酢豚が来たので豚肉をご飯と一緒に口に含みました。うっ…こっ、これは…甘いなぁ…
目で見てる物と、舌で感じてい物がアンマッチのギャップを起こします…、ここでいう甘いとは、ちょっと甘めといった意味じゃありません。酢豚のあんかけって、本来は、水・ミリン・ケチャップにお酢とかですよね。酸っぱめのソースです。
でも、僕はそのときにたべた酢豚には、明らかにパンにぬるようなラズベリージャムの味がしました。口の上にのせたときには、あまりのギャップに最初はなにか認識できませんでした。
日本人はご飯の上に、甘いジャムをのせたものをおいしくご馳走様することはできません。ひとりごとをつぶやきます…sweet and sour ってそうじゃない。そうじゃないんだよ…て。
シュガーモンスターのアメリカ人にsweetなんて言葉を足したら、そりゃ、こうなるよ…と思いながら。たべます。みなさんも、アメリカのユタ州にいったときには、酢豚のメニューの文字に気をつけて下さい。
味はからあげにラズベリージャムをふんだん乗せたような味です。ちょっと説明ができません…
すみません。話を戻しますね。海外では、味に何かが足りないという話ですよね。
なんだと思いますか。
そう、今日のテーマ昆布です。ダシが足りないんです。
2 日本の「ダシ」って結構ユニーク
あなたは、私たちが持っている5つの味覚を言えますか?
それは、甘味、酸味、塩味、苦み、そして、最後にうま味です。この組み合わせによって、人は色々な味を感じています。舌の上、小さなツブツブ(味蕾)で味を感じています。ちなみに、上アゴにもあるみたいですよ。
このうま味に該当する。「ダシ」というものは、実は、日本独自のものかもしれません。
近年、日本食ブームという事もあり、フランスやスペイン、イタリアなどの日本食の人気が著しい国などで、昆布のよさが浸透してきています。昆布って、色々な国で消費され始めてきているんです。
そんなこといっても、みなさんは、こういうかもしれません。
あれ、フランスのフォン・ド・ヴォーとか、アメリカのチキンストックはダシじゃないのって思うかも知れませんが、おそらく、かつお節や昆布のだしとまったく同じようなものは、基本的にフレンスやアメリカにはないはずです。
その違いって、ダシは、料理を作る人はあまり時間をかけていません。
フォン・ド・ヴォー(子牛の骨からとるスープ)や、アメリカのチキンストック(鶏がらスープ)も、基本は料理する人が、新鮮な材料を何時間も何時間も膨大な時間をかけて煮こんでいきます。
それにくらべて、日本のダシは、かつお節の場合はお水が沸騰したところに、いれてすぐに火をとめますし、昆布の場合は、水に昆布をいれて火をかけ、水が沸騰する直前に昆布を取り出したりします。
少なくとも、煮込むということはないですし、料理を作る人がダシをとる時間は圧倒的に短くすみます。
じゃあ、ダシって、インスタントなものでしょうか。それは違います。かつお節にしても昆布にしても、だしを取る前の段階、つまりかつお節作りや、昆布作りの職人さんが時間をかけます。
そのかつお節や、昆布に職人さんがひと手間や時間をかけて、うまみを抽出してくれているところが、ダシの特徴です。料理人がうま味をとりだしているわけではありません。
時間をかけて、伝統をつむぎ、職人さんが、うま味を高めてくれています。
3 昆布職人には高い技術がある
普段は意識しないですが、ちょっとしたおぼろ昆布をつくる職人さんの技術を確認していきたいと思います。でも、さきにおぼろ昆布と、とろろ昆布の違いを確認しましょうか。
これについては、専門の昆布屋さんの説明が一番みんなにわかりやすいと思ったので、下に写真と削り方の説明について以下のサイトを引用させてもらいます。
(出典:写真、絵、削り方の考えについて:小松富之助商店:http://tominosuke.shop-pro.jp/?mode=f2)
実は、おぼろ昆布ととろろ昆布って、違いがありますが、基本は、おぼろ昆布の方が、とろろ昆布よりも等級(ランク)が上です。
まず、削り方が違うのですが、おぼろ昆布は、1枚の昆布の平たい面を手で削っています。
一方で、とろろ昆布って、新聞紙をまとめるときに似ているのですが、
何枚も重ねてある程度プレスしてから、機械で横から削っていきます。横からみると木目上に一枚一枚の昆布が確認できますよね。糸状にほぐせるのが、とろろ昆布です。
機械でたくさんつくることができるから、おぼろにくらべて安価という特徴があります。
一方で、おぼろ昆布は、肉厚で傷の少ない良質な昆布を職人の手業で削っています。
一枚の昆布の平面をカンナをかけるように薄く薄く和紙の厚さに削っていく、薄く平たく、透けるほど薄いさまが、まさに「おぼろ」と表現されているわけです。
おぼろ昆布:肉厚で表面が平らな高級品質のものを使う
とろろ昆布:それよりは等級の低いものをまとめて、削りだす
では、その上級なおぼろ昆布の職人さんが、いかにして、伝統をつむぎ、うま味を高めてくれているか確認してみましょうか。
これは、福井新聞がその手業を上手に紹介してくれている動画と、なぜ敦賀市が昆布で有名なのかを引用したいと思います。
まず、生産地としては、北海道の昆布が有名ですが、みなさんは、福井県の敦賀市もこんぶで聞いたことが一度はあるのではないでしょうか。それは、福井県敦賀市が国内最大の「おぼろ昆布」の産地だからです。
昆布の歴史から、酢につけて柔らかくした昆布を加工して、良質なうまみにたかめてくれる職人さんが200人程いて、全国8割以上の生産量となっているようです。
動画をごらんください。
(出典:福井新聞社デジタルラボ:https://youtu.be/nhf7dTX_MFg)
酢につけて柔らかくした北海道産の昆布を左手と右足で押さえて、職人さんが包丁で、シャーシャーと包丁を昆布の上ですべらせて、薄くすけるようなおぼろ昆布がけずりだされていきます。
削られた後は、ちょっとした天女のはごろものようですよね。向こう側が0.01mmと薄く、ちょっとした着物のように、なっています。
こんぶの歴史って、料理人というよりは、こういった地味にみえながらも、うま味職人の技術の部分が大きいのかもしれません。
4 その目に見えないよさに海外の料理人が気づきはじめている。
近年、日本食ブームという事もあり、日本の自然のうま味に目を向ける料理人が増えてきています。生産者が考える以上に、そのおぼろ昆布の価値を高く評価しているんですね。
みなさんも、考えてみてください。おぼろ昆布や、とろろ昆布って、スーパーでもみたことがありますよね。それは、伝統の中で日本の中に深く溶け込んでいるということでもありますが、
ふだん、われわれが日常の一場面の中で、おぼろ昆布を特殊な高級食材として意識することは少ないかと思います。
ところが、近年は、まるで、おぼろ昆布をさながら、キャビアやトリュフのように、ちょっとした高級食材として、海外では使われていることがあります。
おぼろ昆布の価値を意識して料理に積極的に取り入れているんですね。われわれの見ているおぼろ昆布とは違う感覚で、とらえているはずです。
海外で使われている例として、たとえば、ミシュランの三つ星(最高評価)のホテルの料理とかを見てみると、日本で伝統的なおぼろ昆布が海外で活躍している姿をみることができます。
スペインのホテルの3つ星レストランAKELARRE(アケラレ)でだされている料理です。コース料理の中で、4品目ないし5品目にだされているものに「umami(うまみ)」というディッシュがあります。
海外でも、「うま味」といった言葉が認識されているんですね。写真を見ると白身魚を、ソースに絡めて食べる料理がだされています。
Red Scorpion Fishと書かれているので、オニカサゴの白身魚ですね。おいしそうです。
そして、その油分のソースをさっぱりとあらいながすつけあわせとして、昆布じめしたラッディッシュが透明で涼しげにならんでいます。
(出典:ホテルの料理の写真について引用:KenScale:https://kenscale.com/2015/09/20/akelarre/)
右隅はタルタルだと思うのですが、左側はラティッシュを刻んだもののうえにおぼろ昆布がそっと、のせられていますよね。
口に清涼感をあたえるとともに、うまみの余韻を残したいんだと思います。おそらく、生産者もこのような高級食材としての形でおぼろ昆布がはるか遠い異国の地で使われているとは思ってはいないのではないでしょうか。
5 まとめ
どうでしょうか。意外とわれわれにとっては、日常のみなれたものでも、海外ではその価値を深く見出しているひとたちがいます。
生産者としても、長年作り続けたおぼろ昆布が自分の知らない海外で活躍して、そのお客さんを喜ばせていることを知ったらひと際嬉しいのではないでしょうか。
みなさんも、実はわたしたちが気づいていない、伝統やいいものについてその価値を見出してみるとちょっとした発見があるかもしれません。
いつも読んで頂きありがとうございます。稚拙なブログでも時間をかけて一生懸命作りました。1日ごとに、ぽちっと押して頂けるとランキングに反映されて、僕もこのブログが少しは参考になっているんだなと安心します。また、みなさんにできるだけ結果がでるような情報を提供するモチベーションになります。ぼくも、みなさんの応援が必要です。